租税法の基本原則における「合法性の原則」の位置付けの再確認

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  • Reconfirmation of Position of “Principle of Legality" in Basic Principles of Tax Law
  • ソゼイホウ ノ キホン ゲンソク ニオケル 「ゴウホウセイ ノ ゲンソク」 ノ イチズケ ノ サイカクニン

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抄録

租税法の代表的な学説は、租税法の基本原則として租税法律主義と租税公平主義を挙げており、「合法性の原則」を前者(租税法律主義)の内容の1つとするが、佐藤英明教授の学説は、同原則を後者の租税公平主義の中に位置付けることを提唱する。過去の裁判例などを勘案すれば、同説は妥当であると考えられる。最近の注目判例である最高裁令和4年4月19日第三小法廷判決においては、「合法性の原則」及びその制約は論点とならず、租税公平主義の内容である「平等取扱原則」と、租税法律主義の内容として佐藤説が挙げる「予測可能性原則」との比較衡量が重要な考慮要素であったと考えられる。また、「合法性の原則」の制約の1つである信義則の適用に関する判例等の考え方からも、「合法性の原則」に替わって「平等取扱原則」が納税者の信頼保護との比較衡量の対象となっており、「平等取扱原則」が考慮要素として重視されている。すなわち、租税法律主義の内容の1つとされる「合法性の原則」を租税公平主義の中に位置付ける説は、個別事案の判断において、租税法律主義の意義である「予測可能性原則」や「法的安定性」と、租税公平主義の内容である「平等取扱原則」との比較衡量が重要な考慮要素となっていることに反映されているといえる。以上より、佐藤説における「合法性の原則」の位置付けの妥当性が再確認されたと考えられる。

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