自己会合を利用した電子移動光増感剤リンポルフィリンの活性制御

  • 平川 和貴
    静岡大学 大学院総合科学技術研究科 工学専攻 化学バイオ工学コース 静岡大学 創造科学技術大学院 ナノマテリアル部門 光・ナノ物質機能専攻 静岡大学 大学院光医工学研究科 光医工学共同専攻
  • 伊東 樹穂
    静岡大学 大学院総合科学技術研究科 工学専攻 化学バイオ工学コース
  • 岡崎 茂俊
    浜松医科大学 光尖端医学教育研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Activity Control of Electron Transfer-Photosensitizer P(V)porphyrin through Self-association

抄録

<p>親水性と疎水性をあわせもつリンポルフィリン(ジエトキシP(V)テトラキス(4-オクチルオキシフェニル)ポルフィリン:EtP(V)TOPPとジエトキシP(V)テトラキス(4-ブトキシフェニル)ポルフィリン:EtP(V)TBPP)を合成した.いずれのリンポルフィリンも会合していない状態における光照射下で一重項酸素(1O2)生成活性をもち,熱力学的に電子移動機構でタンパク質を酸化損傷できる.水溶液中では,いずれもJ会合体を形成し,無輻射失活による励起状態の速やかな失活が確認された.ヒト血清アルブミン(HSA)を添加するとこれらリンポルフィリンの会合状態が解離してHSAに結合することで,励起状態の寿命が回復した.リンポルフィリンは,水溶液中における会合とタンパク質の認識による解離で活性制御が可能と考えられる.EtP(V)TBPPでは,HSAのトリプトファン残基の光損傷が確認された.メカニズムには,1O2生成の他,電子移動機構が確認された.一方,EtP(V)TOPPは,立体障害のためHSAの表面にしか結合できず,HSAの光損傷は痕跡程度しか認められなかった.リンポルフィリンの1O2生成と電子移動機構を介するタンパク質酸化損傷活性は,置換基に依存したが,自己会合とターゲット認識による脱会合で制御できた.以上から,リンポルフィリンにおける置換基の疎水性や立体障害により,光増感剤としての活性をコントロール可能であることが示された.</p>

収録刊行物

参考文献 (31)*注記

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