内視鏡下視神経管開放術とステロイドパルス療法で改善した意識障害を伴う外傷性視神経症例

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  • Traumatic Optic Neuropathy with Disturbance of Consciousness: A Case Report

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抄録

<p>外傷性視神経症は頭部顔面外傷に合併して起こりうるまれな疾患である。外科的治療として視神経管開放術が,保存的治療としてステロイド投与が施行されるが,定まった治療法はない。それゆえ症例ごとに治療の選択や導入のタイミングを判断していくことが大切である。今回われわれは受傷時に意識障害を伴う外傷性視神経症例について報告する。</p><p>症例は36歳,男性。交通事故により受傷して当院に救急搬送された。意識障害を認め,視力は光覚弁であった。Computed tomography(CT)では右視神経管に骨折の所見を認め,外傷性視神経症と診断された。即日ステロイドパルス療法を開始しつつ意識障害の改善を待つこととした。意識障害は改善し,入院4日目には視力も改善傾向であったが,右視神経管骨折のためと思われる右眼の視野障害を認めたため5日目に内視鏡下視神経管開放術を施行した。術後から再度ステロイドパルス療法を施行し,14日目に退院となった。術後3ヶ月での視野検査では視野障害は改善し,視力は0.1まで改善した。</p><p>CTで骨折を認める外傷性視神経症であったが意識障害のために手術を遅らせることとなった。受傷後5日目の手術であったが視機能は改善した。意識障害を伴う外傷性視神経症では,ステロイドパルス療法を先行させつつ意識障害の回復を待ってから外科的治療を導入することは有効と考えられた。</p>

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