<i>Yersinia enterocolitica</i>の血清型・生物型と選択分離培地における発育コロニー性状の関係

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タイトル別名
  • Investigation of relationship between serotype/biotype of <i>Yersinia enterocolitica</i> and colony morphology on selective agar
  • Yersinia enterocoliticaの血清型・生物型と選択分離培地における発育コロニー性状の関係
  • Yersinia enterocolitica ノ ケッセイガタ ・ セイブツガタ ト センタク ブンリバイチ ニ オケル ハツイク コロニー セイジョウ ノ カンケイ

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抄録

<p>Yersinia enterocoliticaは,乳糖非分解でSS寒天培地上は無色透明の集落を形成する。しかし,2016年に回盲部炎患者の便からSS寒天培地上で乳糖を分解するY. enterocoliticaを分離・同定する経験をした。その後,同様集落を積極的に釣菌・同定した結果,5株の乳糖分解株を分離した。SS寒天培地上にY. enterocoliticaの一部が乳糖分解株として発育することを確認したことから,日常検査で乳糖分解株を見逃さないポイントを明らかにするために,当院で分離保存した臨床分離株12株を使用し,13種類の培地性状と糖分解を含む生化学的性状について精査した。SS寒天培地上に乳糖分解を示した5株は,血清型O3;生物型3,VP試験陰性で,内訳は白糖分解陽性3株,白糖分解陰性2株であった。白糖分解陰性2株は,乳糖のみを含むSS寒天培地だけではなく,乳糖・白糖を含むSS寒天培地,DHL寒天培地の一部において糖分解を認めず,典型集落を形成しなかった。一方,乳糖非分解株7株は,血清型O3;生物型4と血清型O8;生物型1Bで,13種類の培地で典型集落を形成した。VP試験陰性株は,SS寒天培地上で乳糖分解集落を形成し釣菌困難で見落としの懸念があることから,Yersinia属菌選択培地を追加するなど臨床所見に合わせた検査構築の必要があることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 72 (2), 167-172, 2023-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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