対人環境が子どもの反社会的傾向の変化に及ぼす影響―COVID-19対策としての長期自宅待機前後の縦断的検討―

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of the interpersonal environment on antisocial tendencies in youths: A longitudinal before-and-after survey conducted during COVID-19-related standing by at home

抄録

<p>本研究では,自宅待機前後の縦断調査から,家庭,教師,友人,地域住民などの対人環境の違いで生じる反社会的傾向の変化を比較した。A市内の4年生以上の小中学生1,098名を対象に,自宅待機前と学校再開後2時点の全3時点で調査を行った。対人環境として,家庭の養育と暴力,教師リーダーシップ,友人関係,地域住民の集合的有能感を測定した。反社会的傾向として,セルフコントロール,冷淡・情動の欠如,選択的道徳不活性化,利己的認知的歪曲,規範的攻撃信念を測定した。対人環境指標を用いた潜在プロフィル分析を実施した結果から,4クラスを抽出した。クラス間の反社会的傾向の変化を比較した結果,セルフコントロールは,家庭の心理暴力的統制の強いクラス2では上昇がみられた。統制の強い環境に適応するため,上昇したと解釈された。一方,環境に問題のないクラス1や4のセルフコントロールは減少した。待機後の行動制限が解かれるにつれ,恵まれた対人環境で交流機会が増えるため,減少したと解釈された。冷淡・情動の欠如はクラス1で上昇した。良好な対人環境が待機中に制限されることで,共感性の表出機会が減った結果と解釈された。他の反社会的認知に該当する3指標はおおむね低下した。他者との交流が制限されることで,認知的な学習機会が減少したことによると考えられた。</p>

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参考文献 (36)*注記

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