内科医師が行う吃音診療

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タイトル別名
  • A Multi-faceted Approach to Treating Post-adolescent Stutterers by Internal Medicine Doctors

抄録

<p>本稿では一般内科医が行う吃音臨床を紹介する.筆者は自身が吃音者であり思春期以降,発語に対する不安と戦ってきた.自律訓練法や民間の吃音矯正所・連想療法・入院森田療法など思いつく限りの改善策を学生時代に試したが吃音自体を解消するものはなく,吃音の自助団体である全国言友会連絡協議会の活動の中で年月をかけて吃音では困らなくなった.内科医師として勤務しつつ2016年に念願の吃音相談外来を開設した.多くの吃音者と出会い「ありのままの自分を愛して,できないことは受け入れる」姿勢が大事だということを確信した.吃音には自分ではどうしようもない波とぶり返しがある.成人になってからではきわめて改善が困難であることから,小中学生以下ではいかに吃音を悪化させないようにするかに主眼を置くようになった.症状の程度にかかわらず社会的に困っていれば合理的配慮が受けられ,障害者手帳や年金受給も取得できる時代になってきたので,治すことばかりにとらわれず,吃音をもったままで生きていくことを勧めるようにしている.治さない,頑張らないことにシフトするとかえって吃音症状が改善することは多い.</p><p>本稿を通じて吃音臨床に関心をもつ医師が増え,吃音患者がいつでもどこでも外来受診できる日が来ることを願っている.</p>

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 63 (3), 225-228, 2023

    一般社団法人 日本心身医学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014481303371392
  • DOI
    10.15064/jjpm.63.3_225
  • ISSN
    21895996
    03850307
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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