プラセボ反応からみえてくる「治療の本質」を学ぶ
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- 中野 重行
- 大分大学名誉教授 臨床試験支援財団理事長
書誌事項
- タイトル別名
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- Learning the Essence of Treatment from the Viewpoint of Placebo Response : Structural Understanding of Drug Therapeutic Effects and the Therapeutic Influence of the Concept of “Soft 1.5 Person”
- ―薬物治療効果の構造的理解と「やわらかな1.5人称」という態度の治療的意義―
抄録
<p>いわゆる「プラセボ反応」は,構造的には自然変動・自然治癒力(N)の上にプラセボ投与に起因する「真のプラセボ反応:P」が乗っており,N+Pと表現できる.薬物治療効果は,薬物の真の効果(D)がN+Pの上に乗っており,D+N+Pと表現できる.N+Pを高めると,①治療効果が高まる,②薬物の減量が可能になる,③薬物が不要になる,ことが期待できる.医療者として目指したいコンセプト「やわらかな1.5人称」は,1人称(わたし)の立場に立ちつつも,2人称(あなた)の気持ちにも寄り添える,1人称と2人称の間を行ったり来たりできる,平均すると「1.5人称」になるような「やわらかな態度」のことである.患者を「受容」し,「共感」することを容易にするので,「信頼関係」ができて自然治癒力(N+P)が高まるので,薬物使用の有無にかかわらず,治療効果の向上が期待できる.一般の対人関係でも,コミュニケーションが円滑になり,ストレスが軽減する効果が期待できる.</p>
収録刊行物
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- 心身医学
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心身医学 63 (3), 217-223, 2023
一般社団法人 日本心身医学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390014481303412992
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- ISSN
- 21895996
- 03850307
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可