日本人が訴える肩こりの特徴について
書誌事項
- タイトル別名
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- Characteristics of Katakori as physical complaints among Japanese people
- A comparison with neck pain in the Western countries
- ――欧米における neck pain との比較――
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説明
[抄録]肩こりは日本人にもっとも多くみられる愁訴の一つであるが,その原因は十分に明らかにはなっておらず, 日本人特有の症状という説もある。本論では,肩こりという症候の特徴をより明確にするため,肩こりとこれに類 似するとみられる欧米のneck pain とを,病態や疫学的データについての文献から比較した。その結果,日本の肩 こりは欧米のneck pain に比べ,有訴率・性差・年齢構成・病態生理では差は認められなかったものの,心理社会 的なストレスとより強い関連が認められた。肩こりと心理社会的ストレスの高い関連性について,日本では伝統的 に「肩」という言葉の意味を,精神的な負担や緊張を表現するものとして用いられてきており,諸外国と比べて肩 に意識が集中しやすい,文化的な傾向を持っていると考えられた。それに加え,日本人は出現した症状の原因につ いて心理的な説明をできるだけ避け,体質などの身体的な特性に帰属させようとする傾向を有していることから, 心理社会的ストレスの身体化として「肩こり」を訴えやすいと推定した。心理社会的ストレスによる肩こりに明ら かな特徴があるとすれば,メンタルヘルスのマネジメントを行う上でも有益になると考えられることから検討を加 えた結果,その特徴が存在する可能性が示された。今後,心理社会的ストレスによる肩こりの関連要因や,症状の 特徴をより明らかにしていく必要がある。
収録刊行物
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- こころの健康
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こころの健康 25 (2), 61-66, 2010
日本精神衛生学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390014481303485440
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- ISSN
- 21860246
- 09126945
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可