熊本機能病院における40年間の外傷性切断肢指趾1,430例の受傷背景および再接着術の治療経験

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  • Experiences of replantation and reconstruction in 1,430 cases of traumatic amputation of limbs, fingers, and toes over 40 years at Kumamoto Kinoh Hospital

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抄録

1981年4月より2021年3月までの40年間に熊本機能病院にて経験した切断肢指趾1,430症例,再接着術977例を診療録及び手術記録に基づき後向きに調査し,患者受傷背景および再接着手術,二次的再建手術を年代別ともに検討した.上下肢ともに指趾の切断が多く,中でも指切断が1,163例と大半を占めた.上肢を年代別に見ると,年代別切断指症例数は徐々に減少し,2016年以降は1981年代より約1/3となった.上腕では2000年以降,前腕では2006年以降減少しているのに対して,手の切断は減少していなかった.再接着を施行した切断肢指趾の手術成績は,指では1981年~2000年で95%以上の生着率で,それ以降はほぼ100%となった.指以外では足趾が88%,手が98%で,大腿を除いてその他の上腕,前腕,下肢,足は100%の生着率であった.受傷年齢は,就業年齢の20~64歳に多かったが,9歳以下の受傷も多かったことは受傷予防の観点からも重要な結果であった.受傷指は示指,中指,環指,母指の順で多かった.曜日別では日曜日に少なく,時間帯では9~17時に多かった.受傷原因は,工場又は工事における機械機器が最も多く,次に電気のこぎり,農機具と続いた.受傷職種では農林業が工場における製造業より約2倍の多さで,農林業の盛んな熊本県の特徴と言える.再接着に至らなかった症例に対する二次的再建手術は足趾を移植するToe to finger法とWrap around flap法で行った.いずれの方法も手術成績は100%の生着率であったが,最小限のドナーの犠牲で行える手術としてはWrap around flap法の有用性が高いと考察した.

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