立山弥陀ヶ原の地形と植生の特徴から考える自然保護のあり方

DOI
  • 大宮 徹
    富山県農林水産総合技術センター森林研究所
  • 小林 裕之
    富山県農林水産総合技術センター森林研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Nature conservation based on topographic and vegetation characteristics in Tateyama Midagahara

抄録

<p>立山弥陀ヶ原は古くからの利用がありながら手つかずの自然も残された重要な地域である。一方で観光開発による人為的攪乱も大きく、緑化復元が試みられてきた。COP15における枠組みでは生物多様性上の重要性の高い地域の損失をゼロに近づけることがターゲットとして提示されている。そこで今後の保全に資するため、人為的攪乱の有無による生物多様性の現状を、景観の表層的な要素である植生と地形という視点から調べた。</p><p>弥陀ヶ原の追分平は西北西に6°前後の傾斜をもつ台地で、浅い谷でいくつかの区画に区切られている。人為的攪乱の無い区画では台地の頂上面はおおむね草原で地上開度は平均143.3°であった。谷までの斜面の傾斜は30~40°で、上部から順にダケカンバ、オオシラビソなどが増える傾向にあった。とりわけミヤマハンノキは地上開度が平均36.3°の谷底に分布し草原の分布と重ならないことが分かった。一方、人為的攪乱の顕著な区画では、頂上面でもミヤマハンノキが繁茂し地上開度の平均は100°を越えていた。</p><p>このことから、緑化には地形と植生の関係を重視する必要があり、また、脆弱な台地頂上面の水環境の保護のため浸食を食い止める必要があると考える。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014790998203520
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_104
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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