国内でみられるキリ属種の遺伝的系統と遺伝的多様性

DOI
  • 長沢 和
    宇都宮大学大学院地域創生科学研究科工農総合科学専攻
  • 木村 恵
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター
  • 逢沢 峰昭
    宇都宮大学農学部

書誌事項

タイトル別名
  • Genetic lineage and diversity of <i>Paulownia</i> species found in Japan

抄録

<p>キリ属種は日本の重要な特用林産物である。国内でみられるキリ属種にはキリのほか複数の種や雑種が含まれるといわれているが、その実体は不明である。本研究では日本国内外に生育するキリ属種の遺伝的変異を調べた。調査対象として、岩手県の試験地に残存するキリ、チョウセンギリ、中国産ヒカリギリを含む10クローン32個体、福島県・栃木県の複数個体を用いた。また、外国産種として、国内外の研究機関に生育する中国産キリ属種、中国産シナギリ、韓国産チョウセンギリの計16個体も調べた。これらの葉よりDNAを抽出し、葉緑体(cp)DNAの2領域の塩基配列からcpハプロタイプを決定した。また、11の核マイクロサテライト(SSR)マーカーを用いて個体間の遺伝的関係を推定した。その結果、4つのcpハプロタイプがみられ、大きく2つの系統に分かれた。またcpハプロタイプの1つは中国産キリ属種で広く共有されていた。核SSRは複数のクレードに分かれたが、cpDNAの系統とは部分的に一致するのみであった。以上から、日本でみられるキリ属種には、由来の異なる2つの系統のほか、種や系統間の交雑で生じた雑種が存在することが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014790998535680
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_407
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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