人工林の生物多様性保全に向けた保持木の選定
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- 山中 聡
- 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所
書誌事項
- タイトル別名
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- Selection of retained trees for conserving biodiversity in conifer plantations
抄録
<p>保持林業とは、伐採時に森林に存在する重要な構造や生物を残すことで、生物多様性保全と木材生産との両立を目指す森林管理である。北海道の空知総合振興局では、トドマツ人工林に侵入した広葉樹を伐採地に残す保持林業の実証実験が行われており、保持林業の生物多様性保全上の有効性が様々な分類群にて実証されつつある。一方で、実際に保持林業を導入するためには、伐採地にどのような種類・性質の木を残すべきかを明らかにし、保持木の選定基準を検討する必要がある。</p><p>発表者はこれまで、保持林業の実証実験地において、保持木を利用する枯死材性甲虫を調査し、保持木の樹種や枯死の有無が枯死材性甲虫群集に及ぼす影響を検証してきた。現在は、保持木の持つ微小環境(Tree-related microhabitats)についても調査を行い、樹種によって各環境の発生率が変化するのかを検証している。本発表ではこれらの調査結果をもとに、保持林業の生物多様性保全機能を高めるうえで重要と考えられる保持木の樹種や特徴、保持木の選定に係る今後の課題について報告する。</p>
収録刊行物
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- 日本森林学会大会発表データベース
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日本森林学会大会発表データベース 134 (0), 48-, 2023-05-30
日本森林学会