富山県上市町周辺における過去7000年間の森林変遷とスギの拡大

DOI
  • 志知 幸治
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所四国支所
  • 池田 重人
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
  • 岡本 透
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所
  • 杉田 久志
    富山県農林水産総合技術センター森林研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Vegetation change and expansion of <i>Cryptomeria japonica</i> over the past 7000 years in Kamiichi Town, Toyama

抄録

<p>富山県東部には天然のスギ林が点在しており、その植生変遷に関する研究が行われてきた。しかし、既往研究では標高1300m以上の高標高域を対象としており、1000m以下の低標高域では行われていない。富山県東部におけるスギの拡大過程を詳細に明らかにするために、上市町の湿地から採取した堆積物の放射性炭素年代測定および花粉分析結果から過去約7000年間の森林の変遷を明らかにした。約7200~4700年前(cal BP)にはブナおよびコナラ亜属花粉が優占していたが、サワグルミ属およびトチノキも多く含まれていた。スギ花粉の産出は高木花粉の10%以下であった。約4700年前からスギ花粉は増加を開始、約3200年前には40%を占めるまでとなり、約2200年前には70%まで増加した。スギ花粉が優占する層準ではスギの特徴を持つ孔辺細胞も産出したことから、この時期には湿地のごく周辺にもスギが分布したことが推測された。また、スギが優占する時期については新潟や東北日本海側とほぼ同じであった。約600年前以降にはスギ花粉は急減し、マツ属複維管束亜属とコナラ亜属が増加したが、このことは人為影響増大の結果と考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390014790998581760
  • DOI
    10.11519/jfsc.134.0_480
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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