地域情報論再考

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タイトル別名
  • Rethinking Regional Information Theory
  • チイキ ジョウホウロン サイコウ

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抄録

地域情報の位置づけについての議論は様々にあったが,積極的には地域共同管理論の中に求められる。地域情報論に関して,1980 年代には少なくとも二つのブームがあった。一つは中央省庁が主導し,基礎自治体もそれに乗った「地域情報化」である。それは情報を地域(生活)の活性化につなげようとするものであったが,「導入されたニューメディアや情報システムが有効に作動せず,放置されたままになってしまうことも生じる」(船津1994: 34)という厳しい評価が下された。  もう一つが「情報公開」である。ブラックボックスと化していた国家・行政に対して,民主主義を保障するための国民の知る権利が強調された。情報公開条例,情報公開法として制度化されたが,日常的な利用としては荷の重い制度であった。  前者は,情報の乗り物(メディア)の革新性に着目した議論であり,後者は情報利用の民主性に着目した議論である。両者に共通しているのは,地域情報の価値を決めるのが,誰が(主体)何のために(目的)使うのかという視点である。よって地域情報を編集する主体を想定せざるをえない。このように,地域情報は地域コミュニケーション,より積極的には地域共同管理論の枠組みで位置づけられる。  現在は地域協働の時代である。地域協働の枠組みの中に地域情報を位置づけるのが今日的課題である。

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