グループ活動に参加している一般高齢者と要支援者の移動手段の違い
抄録
<p>【はじめに】</p><p>2015年度から要支援者に対するサービスが介護予防・日常生活支援総合事業へ移行し、通いの場等の多様な活動への参加が求められている。高齢期のグループ活動参加は、生活機能や認知機能低下抑制など(Tomioka et al.2016)健康に良い影響があることが示され、要支援者の高次生活機能の維持に果たす役割が大きいと考えられる。一方、要支援者は一般高齢者と比べて「バスや電車を使って1人で外出できる」で「いいえ」と回答した者の割合が62.1%と有意に高く(金ら、2003)、グループ活動への参加を促進するためには要支援者の移動手段を考慮することも重要と考えられる。しかし、グループ活動に参加している一般高齢者と要支援者の移動手段の特徴に関する報告はない。そこで、本研究では自治体が地域在住高齢者に対して実施した郵送調査を二次解析することにより、グループ活動に参加している一般高齢者と要支援者の移動手段の違いを明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>本研究では、平成28年に東京都A区が地域在住高齢者に実施した郵送アンケートのデータを分析した。要介護1~5認定者を除外し、グループ活動(趣味、スポーツ、ボランティア、学習・教養関係のうち、月1回以上、1つ以上の参加で有り)に参加し、回答に欠損のない1,220名(男性: 432名、女性: 788名)を分析対象とした。要支援認定の有無(要支援認定なしを一般高齢者、ありを要支援者とした)、家族構成、暮らし向き、健康度自己評価、老研式活動能力指標の手段的自立、移動手段(徒歩、自転車、自動車、自動車(人に乗せてもらう)、電車、路線バス、タクシー)の有無を調査した。要支援認定の有無と各移動手段との関連をロジスティック回帰分析で検討した。</p><p>【結果】</p><p>一般高齢者は1,121名(91.9%)、要支援者は99名(8.1%)であった。要支援認定の有無を従属変数、性、年齢、家族構成、暮らし向き、健康度自己評価、手段的自立を調整変数、移動手段の各項目を独立変数として全て投入した多変量のモデルでは、自転車(オッズ比:0.23、95%信頼区間:0.12-0.46)、自動車(0.17、0.04-0.78)、電車(0.27、0.16-0.47)、路線バス(1.74、1.00-3.03)、タクシー(4.03、2.31-7.03)が有意な関連要因だった。</p><p>【結論】</p><p>グループ活動に参加している一般高齢者の移動手段は自分で運転する自転車や自動車、電車であった。一方、要支援者の移動手段は路線バス、タクシーであった。したがって、要支援者となってもグループ活動へ参加している者は、路線バスやタクシーを使用して外出するような特徴があった。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】</p><p>本研究は、東京都健康長寿医療センター研究所の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号令和2年36)。</p>
収録刊行物
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- 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
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日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 1.Suppl.No.1 (0), 87-87, 2022-12-01
日本予防理学療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390014879183505408
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- ISSN
- 27587983
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可