複合施設で開催するウォーキング・イベントにおける習慣化の啓蒙 -(公社)岐阜県理学療法士会の取り組み-

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抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p>現在,(公社)岐阜県理学療法士会(以下,県士会)は,“ウォーキングの習慣化”を目指して,イオンモール各務原店とコラボレーション企画に取り組んでいる.この活動の目的は,①疾病・障害予防を目指した社会的ニーズに対する理学療法(士)の可能性を探ること,②歩行習慣を身につけるための行動変容を促進するために,複合施設という社会資源を活用した実証実験に取り組むことである.このような活動を通して,理学療法士の認知度向上と公益団体としての社会貢献に寄与できると考えられる.</p><p>【方法】</p><p>企画内容として,①店内ウォーキング,②“歩行”に関する講座,③歩行分析に基づく運動のアドバイスを中心に実施した.</p><p>店内ウォーキングは,1日3回,集団でウォーキングを行った.店内に約1kmのコースを設定し,健康に関するクイズラリーを行いながら,ウォーキング指導を行った.</p><p>講座は,店内ウォーキング後に15分間座学,実技を交えて実施した.講座内容は『歩行時の理想的な姿勢』,『疲れない足の使い方』,『骨盤・体幹を意識した歩き方』の3つのテーマを月毎に変更して実施した.本イベントは2021年度においては毎月第1週に行い,7ヶ月間(計7回)実施した.</p><p>実施体制として,県士会に所属する理学療法士を配置した.役割分担として,①店内でのウォーキングは参加者1名に対して理学療法士を1~2名配置し,ウォーキング指導にあたった.②講座は講師1 名とし,実技を交えながら開講した.③歩行分析は,参加者1名毎に測定者1名,説明者1名にて対応した.この際,転倒のリスクに留意した.歩行分析は,AYUMIEYE(3 軸加速度センサーモジュール)を用いて歩行時の重心加速度の結果をバランス,推進力,リズムの3項目で点数化してフィードバックした.さらにこの結果を基に運動指導を行った.イベント体験者には、今後のニーズを把握するために、アンケート調査を行った。</p><p>【結果】</p><p>企画全体の参加者は延べ177名(1回平均25名)であった.この内,複数回参加された参加者は13名(実参加者数の45%)であった.参加者へのアンケート調査の結果,「満足した」,「とても満足した」,の割合は95%で,十分な満足度を得られた.自由回答欄には『毎月楽しみにしている』,『これからもウォーキングを正して,頑張りたい』など前向きな意見が多数あった.</p><p>【結論】</p><p>定期的かつ継続的に活動を実施したことで,継続して参加する者が増加し,参加意欲や運動への意識の高まりが認められた.今回 の企画により,複合施設における理学療法(士)の啓蒙活動は,行動変容をもたらす要因となり,社会貢献に繋がる可能性も示唆された.</p><p>今後も継続して複合施設での啓蒙活動を行い,“ウォーキングの習慣化”にむけた行動変容を促す可能性について調査していきたい.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>倫理的配慮に関して,今回の活動に参加した対象者にはオプトアウトによる同意を得た.さらにアンケート調査を実施する際には個人情報は含めなかった.</p>

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