「被征服者」/「被征服民族」たちの声 : 岡本彌太・未刊詩集『山河』の可能性

書誌事項

タイトル別名
  • The Voices of “Conquered”: The Possibility of Sanga, Unpublished Poetic Works of Yata Okamoto
  • 「 ヒセイフクシャ 」/「 ヒセイフク ミンゾク 」 タチ ノ コエ : オカモトヤタイ ・ ミカン シシュウ 『 サンガ 』 ノ カノウセイ

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説明

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[要約] 昭和8年に創刊された公器的詩誌「日本詩壇」において、詩篇・随筆・詩論・時評などを掲載し続けた岡本彌太は、その中核をなす詩人の一人であった。詩作によって時代に対峙した彌太を、「汪盛な戦士」と平野威馬雄は昭和10年の「日本詩壇」で評している。戦後、詩誌「山河」創刊と詩碑建立を両軸として進められた岡本彌太顕彰事業は、文学者の戦争責任を背景に、第一詩集『瀧』を基調とした「青きあられの高士」という岡本彌太像を戦略的に構築し直した。それにより、戦前の「汪盛な戦士」という評価は後景化され、「日本詩壇」掲載詩篇を中心とする第二詩集『山河』が刊行に至らなかった理由も不透明にされてしまう。しかし、昭和10年頃の「日本詩壇」を紐解くと、同時代のアイヌ民族や満州国に眼を向け、国家によって「被征服者」とされた者たちの声を代弁する詩篇や随筆を発表し、それらを集成した詩集『山河』を企画する彌太の姿が明らかになる。

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