『生物体系学』(東京大学出版会,2002)で展開した体系学の構造論についての新たな解釈および若干の解説

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  • Reinterpretation and some annotations on the theory of the structure of biological systematics developed in 『Biological Systematics』 (University of Tokyo Press, 2002)

抄録

<p>『生物体系学』(直海 2002)で展開した体系学の構造論とは,「私が独自に創出した理論」ではなく,分類学と系統学が別学問に変わっていった時代(1970~1980年代)における,体系学の5分科の「実際上の構造」についての理論と,若干の齟齬はあるものの,基本的には再解釈できると考えている.体系学の構造論を論じた第1章第5節では,体系学を5分科(分類学,系統学,狭義体系学,分布学,生物地理学)から構成される学問ととらえ,それらの分科がどのような学問であるかを論じ定義し,そしてそれらの学問の目的と仕事を明らかにした.しかし,専門用語の適切な解説なしで論を進めていったので,実際的にわかりにくいと思われる.そこで,この小文では,体系学の構造論について若干の解説を行った.第1に,分類学と狭義体系学をよりわかりやすく解説した.分類学と狭義体系学の違いとは,それぞれが構築する分類体系の質の高さの違いであり,単に,「第1の分類学」と「第2の分類学」というふうに区別する方がよいように思われる.第2に,自然理解のために有用な体系学的情報の系統学と狭義体系学での分割管理,およびその実例について解説した.第3に,体系学における哲学的行為としての実体変換(「クラス変換」と「個物変換」)について解説した.分類学(および狭義体系学)と系統学では,取り上げられ議論の対象となる哲学的実体は異なっている.実体変換とは,論理的に一貫性のある実りの多い議論を行うために,その実体が取り上げられる分科に相応しい用語を選択することによって,実体をその分科に相応しい哲学的実体に変換するという哲学的行為である.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015111528437504
  • DOI
    10.20848/kontyu.26.2_136
  • ISSN
    24320269
    13438794
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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