クラフトパルプ工場におけるアンドリッツの省・創エネルギー技術

  • 片山 司
    アンドリッツ株式会社 技術営業グループ
  • 吉田 令
    アンドリッツ株式会社 技術営業グループ
  • 土棚 政人
    アンドリッツ株式会社 技術営業グループ

書誌事項

タイトル別名
  • tate-of-the-art Integration of Energy Balance by Andritz
  • ―A Futuristic Pulp Mill with Integration of Fiberline and Recovery Processes―

抄録

昨年のCOP27におけるCO2削減,脱炭素化の流れに加えて,ロシアのウクライナ侵攻は世界的なインフレ,エネルギー,サプライチェーンの危機を引き起こしている。<br>クラフトパルプ製造工場においては,供給されるバイオマスの50%は,グリーンエネルギーとして活用されるため地球に優しいプロセスと言える。しかし,ここには,まだ多くの改善の可能性を秘めている。個々のプロセスからなる製造ラインを融合,最適化することで,省エネルギー,創エネルギーが可能である。連釡にベーパーリボイラー,更に新技術のDEvapエバポレーターを組込み,より高い濃度と温度の黒液をエバポレーターへ供給・融合することでエネルギー効率を向上させる。アンドリッツ社製エバポレーターは,内蔵型ストリッパー,ラメラセグレゲーション技術により,コンデンセートを全量回収する。従来,未晒洗浄水や苛性化設備の希釈水加温に使用していた低圧蒸気の使用量を低減し,エバポレーターはクローズド化され,排水処理設備の負荷が低減されることとなる。MVR式エバポレーターは,蒸気がボトルネックの工場においては工場内で新たに蒸気を生成することなくエバポレーターの改善に寄与する。HDユニット(高濃度エバポレーター)により,黒液を~85%DSの高濃度にすると共に高濃度の黒液を燃焼する回収ボイラー技術を確立し,高い発電効率を可能にしている。諸外国では老朽化した回収ボイラーを停止し,新たにアンドッツのHERB回収ボイラーを導入することで,発電量を増大化するとともに,化石燃料の使用停止と売電化を図り,工場の収益性に大きく貢献している。<br>本稿は,アンドリッツ社で取り組んでいるエネルギー回収・融合技術の一部ではあるが,これらについて記述する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 77 (6), 513-517, 2023

    紙パルプ技術協会

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