心原性ショックと大量胸水に対して漢方エキス製剤が奏効した1例:集中治療医学領域における漢方医学

  • 川島 希
    名古屋大学大学院医学系研究科小児科学

書誌事項

タイトル別名
  • Successful Treatment of Cardiogenic Shock and Massive Pleural Effusion with Kampo Extract : A Case Report In Critical Care Medicine
  • シン ゲンセイ ショック ト タイリョウ キョウスイ ニ タイシテ カンポウ エキス セイザイ ガ ソウコウ シタ 1レイ : シュウチュウ チリョウ イガク リョウイキ ニ オケル カンポウ イガク

この論文をさがす

抄録

<p>漢方医学が主体の集中治療の報告はあまりない。25歳男性,13歳時,再生不良性貧血に対する骨髄移植後進行性脳症のため脳幹死となり人工呼吸管理,膀胱瘻・胃瘻造設して長期在宅医療管理中,下痢・血圧低下を主訴に入院した。緑膿菌尿性敗血症後,心原性ショック・胸水貯留を発症して無尿となった。家族の希望により点滴・内服薬のみで治療した。淡白胖大舌・薄白苔。橈骨動脈触知せず,頸動脈緩大・微弱。腹力やや強,皮下浮腫・腹水波動を著明に触れ,四肢冷感著明。胸部X 線で大量胸水を認めた。真武湯合牛車腎気丸加桂皮末により徐脈は改善し昇圧した。五苓散・フロセミドにても残存した大量胸水は牛車腎気丸・桂皮末を黄耆建中湯に変更したところ利尿亢進とともに著明低下した。ショックという西洋医学が優先される病態にも漢方医学が有用である可能性が示された。また黄耆含有製剤を追加して胸水低下したことは利水における補気の重要性を示唆する。</p>

収録刊行物

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ