<i>MSL3</i>領域のヌリソミーで生じたBasilicata-Akhtar症候群の日本人男児例

DOI
  • 花房 宏昭
    神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
  • 森貞 直哉
    兵庫県立こども病院臨床遺伝科
  • 長坂 美和子
    愛仁会高槻病院小児科
  • 叶 明娟
    神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
  • 野口 裕子
    神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
  • 長野 智那
    神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
  • 野津 寛大
    神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野
  • 粟野 宏之
    神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Basilicata-Akhtar syndrome derived from a nullisomy of the <i>MSL3</i> region in a Japanese boy

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抄録

<p> Basilicata-Akhtar症候群はMSL3のヘテロ接合性もしくはヘミ接合性変異によるまれなX連鎖性疾患で乳児期からの全般性発達遅滞,経口摂取障害,筋緊張低下などを特徴とする.これまでに約40例が報告されているが,本邦では報告されていない.今回,本邦初のBasilicata-Akhtar症候群の例を報告する.症例は日本人の7歳男児で全般性発達遅滞,筋緊張の低下,経口摂取障害を呈した.身体所見として内眼角贅皮,眼角解離,眼瞼裂斜下,広い鼻梁,上向きの鼻孔,テント状の上口唇,垂れた耳,短い手足,先細りの指,外反膝,扁平足,胸郭変形,側弯を認めた.アレイCGH解析で,MSL3の全コード領域と,ARHGAP6の5’側のみを含んだXp22.2のヘミ接合性欠失を認めた.本症例の表現型はこれまでに報告されているBasilicata-Akhtar症候群に一致するものであった.本症例の病態は機能喪失を引き起こすMSL3の全コード領域の欠失であった.本症例と同様にMSL3の全コード領域とARHGAP6の5’領域のみを欠失するBasilicata-Akhtar症候群の女児2例の報告があるが,ヌリソミー男児例は過去に報告がない.この欠失を有する3例とMSL3の一塩基バリアントを有する既報告例との間に,臨床症状の違いは認められなかった.本症候群の機能的特徴を明らかにするためには,多様な民族から様々なバリアントを持つ症例をさらに集積することが重要である.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 55 (4), 279-282, 2023

    一般社団法人 日本小児神経学会

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