エコーを用いた誤嚥・咽頭残留観察から提案する誤嚥を防ぐ薬の飲み方

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  • 三浦 由佳
    藤田医科大学社会実装看護創成研究センター

抄録

<p>繰り返しの誤嚥や咽頭内の残留物は誤嚥性肺炎のリスクを高める。食事や水分摂取時だけでなく、薬剤の内服時の誤嚥や咽頭残留も高齢社会において大き な問題となりつつある。内服薬が咽頭内に残留したままであると、適切に体内に 取り込まれないという問題も生じる。自宅や施設で療養する誤嚥のリスクの高い 高齢者が安全に内服できていることを、どのような方法で確認したらよいだろう か。従来、ベッドサイドでは誤嚥や咽頭残留をアセスメントするために、視診や 聴診にもとづくフィジカルアセスメントやスクリーニングテストが行われてきた。こ れらはどこでも簡便に実施できるが、むせや声の変化などを生じない不顕性の 誤嚥や咽頭残留を判断することが難しい。</p><p>そこで、可視化にもとづくフィジカルアセスメントの一つの方法として、超音波 検査(エコー)を用いた、誤嚥・咽頭残留の観察を提案する。近年エコー機器の 画質の改善とともに研究が進み、従来は困難だと思われていた気管や咽頭内の 部位をエコーで同定することができるようになった。気管や咽頭内の部位を同定 できるようになったことで、誤嚥物と残留物の可視化が可能となった。また、携 帯型のエコーが登場し、エコーによる観察は病院だけでなく施設・在宅の場で も広く適用可能となった。</p><p>発表では、看護師である演者が看護学研究者、工学系研究者らとコラボレー ションし開発した、エコー画像に人工知能(AI)を導入した、誤嚥・咽頭残留の アセスメント技術について紹介する。通常、エコー画像のアセスメントには約半 年のトレーニングが必要とされる。さらに、誤嚥物や咽頭残留物の観察は複雑 な咽頭喉頭の解剖とエコー画像を結び付けて理解する必要があり、より長期間 のトレーニングを要する。しかしAI による機械学習を行うことで、誤嚥物や残留 物がエコー画像の中に存在する場合、直ちに自動で可視化することが可能であ る。そのため、エコー観察に熟達していない者でも、画像から誤嚥物のアセスメ ントができるようになる。日々の内服時において、どのような剤形で誤嚥を起こ しやすいか、どの部位に咽頭残留が起こりやすいか、ということをエコーでリア ルタイムに可視化できれば、誤嚥を予防するための薬剤の剤形の変更、残留物 を除去するための吸引といった対処が可能となる。今後、服薬支援の場面にお いてもエコーによる可視化が活用されることを期待する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015199799340928
  • DOI
    10.34597/npc.2023.1.0_s1-1
  • ISSN
    24358460
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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