西日本の海岸林にみられる20樹種の海水浸漬処理による耐塩性比較

DOI
  • 大谷 達也
    国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所四国支所

書誌事項

タイトル別名
  • Comparison of salinity tolerance using the seawater immersion test for 20 tree species commonly found in coastal forests of western Japan

抄録

<p>海岸林への導入候補となる広葉樹を耐塩性によって分類するため,西日本の海岸林でみられる20種の苗を使って海水浸漬後の反応を観察した。2020年9月末に各樹種7本のポット苗の土壌部分(園芸培養土の充填された10.5 cmポット)を海水に15時間漬けた後,3本ずつの無処理苗とともに50日間にわたって各苗3枚ずつの葉のFv/Fm値および苗ごとの落葉枚数を記録し,ポット底からの流出水の導電率を測定した。その後7ヶ月間,苗を育成し枯死や新葉展開を観察した。Fv/Fm値,落葉の時期,および翌年の苗木の状態についての変数をもとに,クラスター分析によって各樹種を分類した。その結果,海水浸漬によってなんら変化が認められないクロマツから,浸漬後6日目までに全個体が枯死したムクノキまで,樹種ごとに反応が大きく異なった。クロマツに次いで海水浸漬に強いとされたのはハマヒサカキ,マサキ,およびシャリンバイの低木種3種,浸漬に弱いとされたのはスダジイ,ハゼノキ,およびアカマツといった6種となり,クスノキ,カゴノキ,ホルトノキといった常緑の高木性広葉樹を含む10種は中間的な反応を示した。実験の終了時でも流出水の導電率は浸漬前の値を越えていたため,実験期間を通じて苗木に塩分ストレスがかかったと推察された。クロマツの代替として高木性の広葉樹を導入する際には,海岸林の内陸側や標高の高い場所といった高潮による海水浸漬リスクが小さい地点を選ぶ配慮が必要だと考えられる。</p>

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 65 (1), 3-12, 2023-06-25

    森林立地学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015210901786240
  • DOI
    10.18922/jjfe.65.1_3
  • ISSN
    21896275
    03888673
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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