現象学から始まる心理学史と心の哲学史

抄録

<p>現象学は長らく哲学として研究されてきたが,元々19世紀のブレンターノによって心理学方法論として出発し,今世紀に入り心理学へと還帰しつつあるような流れも見える。本シンポジウムは第83回大会準備委員会公開シンポジウム「心理学と現象学―その関係の過去・現在・未来」,第85回大会公募シンポジウム「心理学と現象学の新たな対話」を受け,目下進行中の出版プロジェクトの執筆者の中,哲学研究者2名を話題提供に招聘して,心理学と現象学の歴史的関係を探る。企画代表者(渡辺)による心理学と現象学の関係の通史的概観に続き,村田が19世紀末の歴史的状況を考慮に入れながら,心理学と現象学の創始者たち(ヴント,ブレンターノ,フッサール)を統合的に理解する途を拓く。続いて長滝が,心の哲学と心理学の展開と絡み合いについて,内観を巡る論争に焦点を当てて描き出す。田中は,意識をめぐる現代の神経科学研究および心脳問題と現象学の関係について論じる。境が実験現象学的アプローチによる知覚の現場研究者としての立場から指定討論にあたる。</p>

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