新型コロナウイルス感染症自宅療養者の状況把握におけるオンラインシステム導入による業務負担軽減への展望

  • 和泉 邦彦
    新潟大学医学部災害医療教育センター 新潟大学大学院医歯学総合研究科法医学教室
  • 高橋 昌
    新潟大学医学部災害医療教育センター
  • 中込 悠
    新潟大学医学部災害医療教育センター
  • 尾関 佳代子
    愛知学院大学薬学部実践薬学講座 浜松医科大学健康社会医学講座

書誌事項

タイトル別名
  • シンガタ コロナウイルス カンセンショウ ジタク リョウヨウシャ ノ ジョウキョウ ハアク ニ オケル オンライン システム ドウニュウ ニ ヨル ギョウム フタン ケイゲン エ ノ テンボウ

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抄録

<p>目的 2019年に出現した新型コロナウイルス感染症は,感染状況の変化,変異株の出現等に対し,政府による緊急事態宣言等,3密を避ける対策が行われてきたが,きめ細かい対策は各自治体に委ねられている。新潟県では,第5波における感染拡大時,自宅療養者のトリアージを電子的に実施することを目標に新潟大学医学部災害医療教育センターのDisaster Medical Assistance Team (DMAT)が介入し,自宅療養者が自ら健康状態を入力できる独自のオンラインシステムを構築し,新たな業務体制 (新体制) を導入した。本研究では,今後起こり得るパンデミックにおける療養支援体制の構築と評価に関するモデルを示すことを視野に,新体制導入による業務負担及び療養状況の変化に関する検討を行うことを目的とした。</p><p>方法 新潟県において,2021年7~9月にかけての新型コロナウイルス感染症拡大 (第5波) の襲来時,DMATの介入により,自宅療養者自身によるオンライン入力に基づいた独自の健康管理体制 (新体制) を導入した。新体制導入後の自宅療養者への1日ごとの架電件数の調査,及び,導入前後でのオンライン診療紹介件数,入院件数,入院までの療養日数,入院期間の比較を行った。</p><p>結果 担当者の負担となっていた健康観察のための架電件数の新体制導入後の推移について,新体制導入がなければ平均273.9件/日,最大672件/日となっていたところ,導入により平均131.1件/日,最大296件/日に抑えられた。また,入院期間は約2日間(導入前12.0日,導入後10.6日)有意に短縮したが,オンライン診療紹介件数,入院件数,入院までの療養日数は有意差を認めなかった。</p><p>結論 オンラインシステムの導入により架電件数が抑えられ,担当者の負担軽減が図られた。また入院件数等は新体制導入前後で有意差が認められず,入院期間は短縮されたことから,新体制で行うトリアージは,療養状況を悪化させることなく業務負担を軽減したと考えられた。また,今回導入したオンラインシステムは,将来起こり得るパンデミックにおいても,トリアージの質を担保しながら,療養状況に関する調査を簡潔に行うことが可能なシステムとして,今後に活かし得る可能性が示唆された。</p>

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