[原著短報] 肝炎ウイルス検査陽性者の拾い上げとして,アラートシステムの不備を手作業で補った効果の評価

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  • [Original Short Communication] Evaluation of the effect of manually compensating for deficiencies in the alert system for picking up patients who tested positive for hepatitis virus

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抄録

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[要旨]B型肝炎は,HBe抗原の陽性・陰性や年齢にかかわらず,ALT 31 U/L以上,かつHBV DNA量3.3 LogIU/mL以上を満たす慢性肝炎は治療対象とするべきであるとされている。また,肝硬変ではHBV DNAが陽性であれば,HBe抗原,ALT値,HBV DNA量にかかわらず治療対象とするとされている。C型肝炎は,非代償性肝硬変を含むすべてのC型肝炎症例が抗ウイルス治療の対象となり,年齢,ALT値,血小板数にかかわらず,すべてのC型肝炎症例に対して抗ウイルス治療を検討することを推奨されている。また,高齢者ではALT 30 U/L以内かつ血小板数15万/μL以上でも発癌リスクは低くなく,積極的に治療導入を考慮すべきであるとされている。B型肝炎に対しては2006年に核酸アナログ製剤のエンテカビルが,2014年にテノホビルジソプロキシルが,2017年にテノホビルアラフェナミドが,C型肝炎に対しては2014年に直接作用型抗ウイルス薬が保険収載された。肝炎ウイルス検査陽性者の拾い上げとして,電子カルテのアラートシステムの不備を手作業で補ったが,効果は有ると考えられた。300床クラスの当院においても陽性者数は1 日あたり平均1 件未満であり,費用対効果としても十分に許容できるものと考えられた。一方では,救急外来を1 回のみ受診した患者を中心に,介入ができずに終わった症例も残された。本取り組みを継続していくことで,消化器内科以外の医師への啓発にもつながり,未介入患者の撲滅につながることを期待する。

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