紅斑局面を呈した偽リンパ腫

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  • A Case of Pseudolymphoma Presenting with Erythematous Plaque

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抄録

<p>患者:67 歳,男性</p><p>主訴:髪際部の浸潤性紅斑</p><p>生活歴:大酒家(日本酒 2 合/日× 47 年)</p><p>既往歴:高尿酸血症,脂質異常症,アルコール性肝障害,逆流性食道炎,睡眠時無呼吸症候群(CPAP 装着中)</p><p>現病歴:初診の 2 カ 月前から髪際部に痒みのない紅斑が出現してきたため当科を受診した。ダーモスコピーでは毛細血管拡張が主体であったため,酒さとして経過観察していたが 3 カ 月後に頰部の紅斑が隆起してきたため再診した。</p><p>現症図1):前額や頰部の髪際部から耳介前面にかけて,軽度瘙痒のある境界明瞭な浸潤性紅斑が局面を形成していた。耳介内側にも紅斑を認めた。</p><p>血液検査所見(異常値は下線で示す):白血球4280/μl(好酸球9.8%,異型リンパ球-),HbA1c 6.5%,HTL V-1(-),s-IL2R 213U/ml</p><p>単純CT 検査:有意なリンパ節腫大なし</p><p>病理組織学的所見図2 ab,HE 染色):右耳珠の約 1 cm の紅色結節から 4 mm トレパンで生検した。表皮に著変なく,grenz zone を有し真皮全層に明瞭なリンパ濾胞様構造を多数認めた。浸潤するリンパ球は異型性に乏しく,tingible body や tingible body macrophage もみられた。</p><p>免疫組織化学的所見:CD20(図2 c),CD79a 陽性細胞は濾胞中心に,CD3(図2 d)陽性細胞は濾胞辺縁に多く認められた。胚中心マーカーである CD10 は胚中心部で弱陽性,辺縁部で陰性であり,Bcl-2 は胚中心部で陰性,辺縁部で陽性であった。</p><p>診断:偽リンパ腫</p><p>治療と経過:生検後の自然消退はみられず,瘙痒に対して少量のステロイド内服と光線療法(エキシマライト)を開始した。紅斑の浸潤はとれ,初診から 2 年経過した現在,ほぼ消退した。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (3), 155-156, 2023-06-01

    日本皮膚科学会西部支部

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