小児腹壁遠心性脂肪萎縮症の 2 例

  • 下農 真弘
    長崎大学病院 皮膚科・アレルギー科 佐世保市総合医療センター 皮膚科
  • 小池 雄太
    長崎大学病院 皮膚科・アレルギー科
  • 橋本 邦生
    長崎大学病院 小児科
  • 室田 浩
    長崎大学病院 皮膚科・アレルギー科

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Lipodystrophia Centrifugalis Abdominalis Infantilis
  • ショウニ フクヘキ エンシンセイ シボウ イシュクショウ ノ 2レイ

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抄録

<p>症例 1 : 1 歳 9 カ 月,女児。生後 12 カ 月頃より腹部と下顎部の皮膚萎縮が出現し,淡い紅暈を伴いながら徐々に拡大し,下腹部に皮膚潰瘍を生じた。MRI で皮下脂肪組織の減少,皮膚生検で付属器周囲・脂肪組織の炎症細胞浸潤と脂肪変性を認め,小児腹壁遠心性脂肪萎縮症と診断した。治療として,タクロリムス軟膏 0.03%を長期継続し,発症 3 年で下腹部は臍上方から鼠径部まで,下顎部右側は反対側まで緩徐に拡大したが,下腹部の脂肪萎縮は軽度改善している。 症例 2:4 歳 3 カ 月,女児。3 歳頃より尿線の偏位と陰部の皮膚萎縮に気づかれた。初診時,右鼠経部から右大陰唇にかけて周囲に軽度の紅斑を伴う皮膚萎縮を認めた。CT で同部位の皮下脂肪組織の萎縮があり,小児腹壁遠心性脂肪萎縮症と診断した。治療としてタクロリムス軟膏 0.03%の外用を行い,皮疹部は周囲の発赤の軽減を認め,12 カ 月のフォロー期間中,皮膚陥凹部の範囲は変化を認めなかった。 小児腹壁遠心性脂肪萎縮症の標準治療は現時点で定まっておらず,本症例はタクロリムス軟膏を主体とした外用療法で安定した経過を示した。今後の治療法の選択肢のひとつと考えられる。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (3), 180-183, 2023-06-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (4)*注記

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