日本の一般成人向け読書会が持つ性質

書誌事項

タイトル別名
  • The Nature of Adult Reading Groups in Japan
  • A Study Focused on Social Science Reading Groups Based Grounded Theory
  • グラウンデッド・セオリーに基づく社会科学に関する読書会を中心とした研究

説明

【目的】日本では,一般成人向け読書会が数多く開催されているにも関わらず,その性質は明らかにされていない。そこで本研究は,日本での一般成人向けの社会科学に関する読書会を研究対象として,読書会参加を左右する状況・条件や,参加者から見た読書会の持つ性質を明らかにする。参加者はどのように読書会を捉えているか,何が参加の動機ときっかけになっているのか,読書会で得られる実感はどのようなものか,読書会参加後にどのような帰結と影響にいたるのかを調査する。【方法】読書会参加経験のある,年齢,性別,職業の多様な30代から60代の男女22名に半構造化インタビューを実施した。インタビュー結果をグラウンデッド・セオリーの手法を使用して分析し,9つのカテゴリからなる統合カテゴリ関連図を作成した。【結果】読書会参加は,読書会に対する期待と,参加者自身の状況や読書スタイルに対する自己認識に左右される。読書会参加者が抱く読書会への期待は多様だが,読書会の持つ負担感が参加者を参加動機の強い人に絞り込む性質がある。参加者は,各々が持つ様々な動機に応じて読書会の選択・企画を行い,読書会に向けて課題本を読み,読書会に参加する。読書会で目的や動機の異なる参加者が集まって議論を行う際,課題本が多様な発言に共通項を持たせる性質がある。そして読書会には,参加者が読書会の持つ多様で自由な議論・発言から,自らの知識と結び付け気付き・発見を得るという性質がある。読書会の帰結として,多くは忘却にいたるものの,読書会で気付き・発見を得ることで,後の読書会に影響を与える場合がある。その際,読書会に対する評価にいたる場合,仕事や人脈形成といった他活動へ波及する場合,自己の内省にいたる場合が見られた。これらの帰結は,その後の読書会への期待や,読書会の選択・企画に影響を及ぼすことが確認された。

収録刊行物

参考文献 (7)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015410760221440
  • DOI
    10.46895/lis.89.25
  • ISSN
    03734447
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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