動物園まるごとiPS 細胞化プロジェクト

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抄録

<p>日時:2023年7月7日(金)13:30〜15:00</p><p>場所:兵庫県民会館 11階 パルテホール</p><p>現在、地球上におよそ6000種の哺乳動物が生息しています。哺乳類の出現は中生代初期の2億3000万年前まで遡ることができますが、恐竜が絶滅した6600万年前を機に爆発的な適応放散を迎え、現在に至る表現型の新奇性の獲得と多様化を果たしました。哺乳動物の新奇性と多様性については、幼少期に誰もが一度は「キリンの首やゾウの鼻はどうして長くなるのだろう?」といった疑問をもったことがあるはずですが、その問いに対する答えを得ることのないまま、いつしか疑問自体を感じなくなっています。また、学術的にもこうした子供の疑問、すなわち「哺乳動物の新奇性と多様性をもたらした発生進化プログラム」について回答できずにいますが、その原因は動物園にいるような動物(動物園動物)には生命科学研究を難しくする要因が多く、その発生現象に実験的にアプローチすることが不可能なことにあります。一方、iPS細胞は様々な哺乳動物から作製することができ、任意の細胞系譜の発生分化を培養下で再現することを可能にします。したがって、iPS細胞技術を活用すれば、動物園動物における生体研究の制約を乗り越えて、表現型の新奇性・多様性の発生進化研究(基礎生物学)に取り組むことができるようになると考えられます。さらに、動物園動物iPS細胞の構築にともない、各動物種に応じた治療薬の検証と開発(獣医創薬)や遺伝的多様性の保存と将来的な繁殖(繁殖生物学)にもつながります。そこで、このコンセプトを実現するべく、生命科学者・獣医学者・動物園が連携して「動物園まるごとiPS細胞化プロジェクト」を昨年度に始動しました。本自由集会では、このプロジェクトの背景について、生物学の視点、獣医学の視点、動物園の視点のそれぞれから紹介したいと思います。</p><p>プログラム</p><p>「『キリンの首』問題の解決に向けた生物学のアップデート」</p><p>今村公紀(京都大学ヒト行動進化研究センター)</p><p>「iPS細胞は動物園に何をもたらすか?」</p><p>櫻庭陽子(豊橋総合動植物公園)</p><p>「稀少動物のドラッグリポジショニングの存在意義」</p><p>中村紳一郎、塚本篤士(麻布大学獣医学部)</p><p>責任者:今村公紀(京都大学ヒト行動進化研究センター)</p><p>開催方法:現地開催のみ</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015421165987968
  • DOI
    10.14907/primate.39.0_16
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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