バルトリン腺癌との鑑別に難渋したクローン病合併痔瘻癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of fistula cancer in Crohn's disease indistinguishable preoperatively from Bartholin's adenocarcinoma
  • バルトリンセンガン ト ノ カンベツ ニ ナンジュウ シタ クローンビョウ ガッペイ ジロウガン ノ 1レイ

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説明

<p>外陰部腺癌は稀であり,腟前庭後部の病変はバルトリン腺原発と考えやすい.今回クローン病罹患中の外陰部腺癌が,術後に痔瘻癌と判明した症例を経験したので報告する.症例は48歳の女性で,クローン病で内科的治療を継続していた.前医を受診する6カ月前に左腟前庭部に腫瘤が出現し前医を受診した.生検でadenocarcinomaと診断された.腸管由来の可能性も示唆されたため,上下部消化管内視鏡精査を行ったが悪性腫瘍を認めず,バルトリン腺癌疑いで当院を紹介受診した.初診時,左バルトリン腺領域に4 cm大,その腹側の陰核左側に1.5 cm大の腫瘤を認めた.CT検査で両側鼠径リンパ節の軽度腫大を認めた.2週間後に単純外陰切除術,両側鼠径リンパ節生検を施行した.病理診断は中分化腺癌であり,大腸粘膜上皮と腺癌との連続性が確認できたため痔瘻癌と診断した.切除断端は左腟壁深部剥離面が陽性であり,両側鼠径リンパ節にも転移を認めた.前手術から3カ月後に外科にてロボット支援腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術,腟会陰切除術,大腸ストーマ造設術,鼠径リンパ節郭清術を施行され,現在化学療法(CAPOX療法)を行っている.外陰部は痔瘻が発生する場所として矛盾しないため,クローン病既往の外陰部腺癌は痔瘻由来の可能性を積極的に考慮し,術前に痔瘻の精査を十分に行う必要がある.</p>

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