『ピンチはチャンス』~多様な形態と大胆な創造性を~

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  • 片渕 秀隆
    公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会 理事長(2020年~2022年)

抄録

<p>公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会は,1975年8月に設立された「日本コルポスコピー研究会」を源流とし,1998年7月の「日本婦人科腫瘍学会」を礎石として,2013年11月に現在の「公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会」へと発展し,2023年には25年目のマイルストーンに到達する.猖獗を極める新型コロナウイルス感染症のパンデミックは,現存するさまざまな問題を浮き彫りにしており,既存の社会構築の中に新しい展望を見出す好機でもある.本学会においても,ピンチはチャンスTough Times Provide Opportunities for Changeではなかろうか.</p><p>本学会は,総務,会計,学術,教育,編集,渉外,社会保険,倫理,広報,専門医制度,ガイドラインの11の委員会を常設し,現在5委員会に11の小委員会も併設されている.さらに,委員会内の4つのワーキンググループ(WG)が短期的に進行し,委員会外においても5つのWGが設置され課題解決のために長期的な検討が行われている.主な活動は,(1)学術講演会・研修会の開催,(2)国際学会との協働,(3)和・英文誌の定期刊行,(4)婦人科腫瘍専門医(現在1,038名)・指定修練施設(現在279施設)の認定・更新,(5)婦人科がん治療ガイドラインの作成・改訂,6)研究助成(野澤記念研究助成),(7)女性の福祉に関する声明や提言の発信であり,いずれも衆議一決する体制の下に遂行されている.</p><p>併設した小委員会で検討が行われている主な重要案件は,1)3学会(本学会,日本産科婦人科学会,日本産科婦人科内視鏡学会)共通の婦人科がん症例の個別総合入力システム(Japan Entry System for Gynecologic Oncology:JESGO)の開発,2)日本医学会加盟(2021年)を機に31の国内外の学会・研究会との連携の強化,3)コルポスコープ検査の質の保証を担保するための指標提案と指導者育成などである.</p><p>新たな活動として,1)2021年3月始動のウェブセミナー(病理診断,放射線診断・治療を含む)の定期開催,2)アーカイブ(既収録講演・セミナー)の提供(JSGO E-Academy),3)ホームページの改修(会員ログイン,英語ページなど),4)ホームページによる会員・社会への発信(婦人科がん診療におけるがんゲノム医療やコンパニオン診断,婦人科がん診療における新型コロナウイルス感染症とワクチンへの対応,HPVワクチンに関する最新情報と本学会としての考え方,子宮体癌に対する薬剤の適正使用など),5)婦人科がんに関する患者向けアニメーション動画の制作(子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がん,HPVワクチン,婦人科検診,薬物療法,遺伝子検査,就労支援,子宮内膜全面掻爬術,子宮頸部異形成の診断と治療,腹腔鏡手術とロボット手術,手術合併症),6)和文誌の電子ジャーナル化(2023年)などが挙げられる.加えて,創立25周年記念事業(国際シンポジウム,記念誌,企画書籍)やポスト・コロナに向けた学術講演会の開催様式などの検討が行われている.</p><p>短期間で社会情勢が変貌し価値観も常に変化する中で,本学会がアカデミック集団として多様な形態と大胆な創造性をもって機能するには,無限の可能性を秘める若い人たちが活躍する環境を醸成し続けなければならない.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015432009026688
  • DOI
    10.57291/jsgo.41.2_53
  • ISSN
    24368156
    13478559
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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