海上可降水量観測のための船舶搭載GNSS解析設定の最適化に関する研究

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  • A Study on Analysis Setting Optimization of Ship-Based GNSS Measurements for Maritime Precipitable Water Vapor Monitoring

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抄録

<p> 船舶搭載の全地球衛星測位システム(GNSS)を用いた海上での可降水量(PWV)推定に最適な解析設定を決定するため、移動体精密単独測位(Kinematic PPP)を実施した。次の3つの解析パラメータの影響を考察した:(1)天頂遅延量(ZTD)の時間変化を拘束するランダムウォークプロセスノイズ(RWPN)の標準偏差、(2) 解析の時間幅、(3)カルマンフィルタ状態ベクトルの時間の更新間隔。気象庁のメソ解析(MA)と比較した結果、時間幅と更新間隔に依存するが、RWPNの拘束を強めることで、ZTDの不自然な時間変動が抑制されてMAに対する負のバイアスが減少し、その一方で回帰係数が減少することがわかった。</p> <p> MAとの比較結果から、RWPN、時間幅、更新間隔をそれぞれ3×10-5 m s-1/2、1.5時間、2秒とした解析結果を、他の観測結果と比較した。バイアス及び二乗平均平方根差は高層ゾンデ観測に対して-0.48及び1.75 mm、近傍の地上固定GNSS点に対しては0.08-0.25及び1.49-1.63 mm、衛星搭載マイクロ波放射計に対しては1.04-1.18及び2.17-2.43 mmであった。</p> <p> GNSS PWVのバイアスの変化をもたらす要因について、特にGNSSアンテナの解析高度の誤差との関係を議論した。GNSS測位における鉛直座標の誤差は、GNSS PWVの誤差と負の相関があることが確認された。またKinematic PPPは、更新間隔が短く、時間幅が広いほど、高度を過大評価する可能性が高いことがわかった。RWPNと更新間隔を3×10-5 m s-1/2と2秒に設定すると、Kinematic PPPによる解析高度のバイアスは解析から1時間程度で負から正に変化することが示された。これらの結果は、正確なGNSS PWV解析のためには、正確なGNSS測位が必要であることを示唆している。</p>

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 101 (4), 323-346, 2023

    公益社団法人 日本気象学会

参考文献 (43)*注記

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