ロボット支援下手術後の創部出血を契機に診断されたフォンヴィレブランド病の1例

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タイトル別名
  • A case of acquired von Willebrand syndrome diagnosed due to postoperative wound bleeding after robot-assisted surgery
  • ロボット シエン シタテジュツゴ ノ ソウブ シュッケツ オ ケイキ ニ シンダン サレタ フォンヴィレブランドビョウ ノ 1レイ

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抄録

Von Willebrand病(VWD)は,von Willebrand因子(VWF)の量的質的な異常により,血小板の機能障害を引き起こし,出血傾向をきたす先天性の凝固異常症である.後天的にVWFの異常をきたす病態は複数あり,後天性von Willebrand症候群(acquired von Willebrand syndrome;aVWS)と総称される.症例は72歳,2妊2産で閉経は53歳.既往歴に半月板損傷,帯状疱疹,下肢静脈瘤がある.X年2月に不正性器出血を自覚し前医を受診し,子宮内膜癌endometrioid carcinoma G1の診断で,当科に紹介となった.術前子宮体癌IA期と診断し,ロボット支援下子宮全摘出術,両側付属器摘出術を施行した.術前検査で凝固系の異常は認めず,術中出血量は少量で止血も問題はなかったが,術後に創部や腟断端部から持続出血を認めたため,血液内科に対診を依頼した.精査の結果,VWFが著明に低値であり,aVWSが疑われた.術後断続的に出血を認めていたため,VWF含有乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子製剤を投与し,出血傾向が改善した.今回のエピソード以前に止血困難や出血傾向の既往はなくaVWSと診断した.術後診断は子宮体癌IB期,pT1bNXM0,endometrioid carcinoma G2であった.術後化学療法を4コース施行後,現在までに再発は認めていない.〔産婦の進歩75(3)269-274,2023(令和5年8月)〕

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