馬蹄腎峡部を離断し再人工血管置換術を行った感染性吻合部仮性瘤の1例

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  • Infected Abdominal Aortic Aneurysm Associated with Horseshoe Kidney: A Case Report

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抄録

<p>症例は78歳男性.25年前に腹部大動脈人工血管置換術を施行されていた.今回,発熱,食欲不振を主訴に近医を受診し,原因検索のために施行したCTで以前の腹部大動脈の中枢側人工血管吻合部の中枢に周囲脂肪織濃度上昇を伴う最大径60 mmの腹部大動脈瘤と,その前面を跨がる馬蹄腎を認めた.また,以前の腹部大動脈人工血管置換術の際に右腎への異所性腎動脈がY字型人工血管の右脚に再建されていた.血液培養は陰性であったがPET-CTで大動脈瘤壁にSUV (standardized uptake value) Max 11.7のFDG高度集積を認め,感染性腹部大動脈瘤の可能性が高いと判断し,抗菌薬治療を開始した.抗生剤加療を継続するが発熱は改善せず炎症反応も遷延するため感染巣除去のために手術を施行する方針とした.腹部正中を再切開し,馬蹄腎の峡部を切離して断端を処理して腹部大動脈瘤を露出し,感染性腹部大動脈瘤を切除し腎動脈分岐部直下を中枢吻合部とし,末梢側吻合は前回のY字型人工血管として,新たに腹部大動脈人工血管置換術を施行し,さらに感染制御のために大網充填を施行した.以前再建した異所性腎動脈については今回の人工血管置換の範囲外にあり手術操作には影響しなかった.術後は抗生剤点滴を30日間継続し,感染の再燃は認めず,経口抗生剤に変更後,術後34日目に退院した.</p>

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