自由学園南沢キャンパス屋上露場データと近傍の気象庁AMeDASデータとの比較・検討

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タイトル別名
  • Meteorological Data of Jiyu Gakuen Minamisawa Campus and Comparison Study with Nearby Meteorological Agency AMeDAS Stations

抄録

自由学園では,2019年度に本学南沢キャンパス(東京都東久留米市)に,高精度の気象観測システムを導入し,「自由学園水文・気象観測システム」として2020年1月1日から運用を開始し,7要素について10分毎に気象データを蓄積している.従前はこうした連続データが得られなかったため,本学の実習・研究において気象データが必要な場合,専ら気象庁Webから5 km~10km程度離れた最近傍3地点(練馬・府中・所沢)のアメダスデータが参考値として代用(参照)され,3地点の算術平均を取るなどの方法が試みられた.しかしながら,そうした参照方法が妥当であるか詳細な検討が困難であった.現在,本学における実観測データが蓄積しつつあり,比較・検討が開始できる状態になったことから,本研究では気温・雨量に注目し評価することとした.相関分析等の結果から,アメダスデータ参照方法は概ね妥当であった.しかし,特に極値はばらつきが大きいため,参照に際しては地点ごとの傾向を十分に考慮する必要があることが分かった.同時に,こうした気象庁による地上気象観測の空白地帯において,より真値に近い値を得るには,観測要素ごとに個別の検討が必要である.今回比較検討した気温については,距離が近く同じ平野部であるなど一定の条件を満たせば,近傍地点から推定することもある程度可能であることが示唆された.一方,降水量については,距離が近く同じ平野部であっても,降水量分布の局所性から,一定の参照法を見出すことは難しいことが示唆された.以上から地上気象観測の空白地帯における気象現象をある程度推定することはできるが,それらの妥当性を評価するためには,最終的には実観測をせざるを得ない.これに鑑みると,気象庁基準に適合した気象観測システムを早晩導入し,実データで空間的に補完することが最も効率的であることが再認識された.

収録刊行物

  • 生活大学研究

    生活大学研究 8 (1), 72-80, 2023

    学校法人 自由学園最高学部

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015520419040640
  • DOI
    10.19019/jiyu.8.1_72
  • ISSN
    21896933
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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