低血糖を合併したGAPDH高発現びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

  • 平野 志帆
    国立病院機構名古屋医療センター 血液内科
  • 岩越 朱里
    国立病院機構名古屋医療センター 病理診断科
  • 今橋 伸彦
    国立病院機構名古屋医療センター 血液内科
  • 酒井 晃太
    名古屋大学大学院医学系研究科 腫瘍病理学
  • 平野 大希
    国立病院機構名古屋医療センター 血液内科
  • 鈴木 康裕
    国立病院機構名古屋医療センター 血液内科
  • 足立 達哉
    国立病院機構名古屋医療センター 血液内科
  • 永井 宏和
    国立病院機構名古屋医療センター 血液内科
  • 飯田 浩充
    国立病院機構名古屋医療センター 血液内科

書誌事項

タイトル別名
  • Diffuse large B-cell lymphoma expressing high-level glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase complicated with hypoglycemia
  • テイケットウ オ ガッペイ シタ GAPDH コウハツゲンビマンセイ ダイ サイボウガタ Bサイボウ リンパシュ

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抄録

<p>症例は69歳男性。低血糖,脾腫,傍大動脈リンパ節腫脹の精査目的に当科紹介となり,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)と診断された。入院後,遷延性低血糖の治療に難渋したが,リンパ腫に対し化学療法を施行したところ低血糖が改善した。この経過からリンパ腫に関連した低血糖が疑われたため,その機序を解明するために,解糖系酵素であるグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)の免疫染色を実施した。GAPDHの発現は,細胞の解糖系活性と正の相関を示すことが知られている。免疫組織染色の結果,本症例では低血糖を合併しなかったDLBCL症例と比較してGAPDHの発現が高度であった。このことから,本症例の腫瘍細胞の解糖系が亢進していたことが示唆され,腫瘍内で多量のグルコースが消費されたために遷延性低血糖を合併した可能性が考えられた。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 64 (7), 608-613, 2023

    一般社団法人 日本血液学会

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