放射光X線の回折・分光で解明するSrIrO<sub>3</sub>/SrTiO<sub>3</sub>超格子の電子状態

  • 和達 大樹
    東京大学物性研究所 東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター
  • 山村 周玄
    東京大学物性研究所 東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター
  • 石井 賢司
    量子科学技術研究開発機構放射光科学研究センター
  • 鈴木 基寛
    高輝度光科学研究センター
  • 池永 英司
    高輝度光科学研究センター
  • 松野 丈夫
    理化学研究所創発物性科学研究センター
  • 高木 英典
    東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 マックス・プランク研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Electronic Structures of SrIrO<sub>3</sub>/SrTiO<sub>3</sub> Superlattices Revealed by Synchrotron X-Ray Diffraction and Spectroscopy
  • 放射光X線の回折・分光で解明するSrIrO₃/SrTiO₃超格子の電子状態
  • ホウシャコウ Xセン ノ カイセツ ・ ブンコウ デ カイメイ スル SrIrO ₃/SrTiO ₃ チョウコウシ ノ デンシ ジョウタイ

この論文をさがす

抄録

<p>現代の物性物理学においてイリジウム酸化物は,スピン軌道相互作用と電子相関の両方が重要である点で特に興味を集めている.最近,パルスレーザー堆積法による人工超格子[(SrIrO3m,SrTiO3](m=1,2,3,4,and ∞)の作製の報告があった.SrIrO3の積層数mを変化させることで,半金属−絶縁体転移などが見られた.我々は共鳴X線回折,硬X線光電子分光,X線磁気円二色性の組み合わせにより,これらの超格子の電子状態を明らかにした.m=1の超格子の磁気構造はSr2IrO4と同様の面内のキャントした反強磁性であった.電子状態は他の超格子と異なり2次元性の強いものであった.磁化測定で観測された面内の強磁性成分は,X線磁気円二色性測定でも観測された.以上のように,m=1超格子はバルクのSrIrO3とは全く異なる電子状態を持つことが明らかとなった.次元性制御を通じたバンドエンジニアリングによって新しい電子状態が実現する可能性を明確に示している.</p>

収録刊行物

  • X線分析の進歩

    X線分析の進歩 48 (0), 215-223, 2017-03-31

    公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ