早産低出生体重児鼠径ヘルニアに対する早期修復術の妥当性

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of Validity of Early Inguinal Hernia Repair in Premature Infants
  • ソウザン テイシュッショウ タイジュウジ ソケイ ヘルニア ニ タイスル ソウキ シュウフクジュツ ノ ダトウセイ

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】乳児鼠径ヘルニア(以下,本症)は嵌頓率が高く早期手術が望ましいが,手術合併症の懸念もあり早産低出生体重児における至適手術時期の明確な推奨はない.当院では原則的にNICU退院直前に,2,500 g程度までの体重増加を得てから修復術を施行している.今回我々は当院でのNICU退院前の修復術の安全性と妥当性について検討した.</p><p>【方法】2009年4月から2022年10月までに当院でNICU入院中に診断,修復した本症21例をNICU群,外来で診断し生後2か月までに修復した32例を対照群としてそれぞれの手術時間,麻酔時間,再発・異時性対側発症の有無等を診療録から得,比較検討した.</p><p>【結果】NICU群21例のうち,男児が15例(71%),両側例は10例であった.平均出生体重は1,330 g,手術時体重は2,860 gであった.平均手術時間は,NICU群では片側,両側,全体でそれぞれ18.0/38.8/27.9分,対照群では17.7/35.4/21.6分であり,全ての項目において双方に有意差を認めなかった(p=0.750,0.432,0.051).一方,NICU群の麻酔時間および術後在院日数はそれぞれ80.9分,13日で対照群と比べ有意に長かった(p=0.017,p<0.01).術後合併症はNICU群の術後一過性低酸素血症1例のみであった.NICU群は術後観察期間中央値42か月中再発を認めず,術後対側発症はNICU群1例,対照群4例に認めた.</p><p>【結論】早産低出生体重児の本症におけるNICU退院前の修復術は,新生児科との連携の上で適切な術後管理を行うことで,安全かつ確実に施行可能である.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ