中国の人民元国際化戦略とデジタル人民元との関係・展望

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抄録

<p> 中国の人民元国際化は,2008年9月のグローバル金融危機を機に,翌2009年7月から人民元建て貿易決済の導入という形で始動し,2015年の国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨採用決定に向け戦略的に進められた。この間,人民元クリアリング銀行の設置,人民元建て通貨スワップ協定の締結,人民元建て適格外国機関投資家(RQFII)の運用枠の配分,越境証券投資に関する香港との相互取引制度(コネクト)といった中国独自のやり方においても,人民元の国際化が進められた。2015年8月の為替改革後,一時,中国は資本流出に見舞われたが,人民元国際化の方針そのものに変更はなく,越境証券取引の制度改善も進められている。デジタル人民元については国内のリテール向けがメインである一方,国際決済に向けた共同研究も進められている。今後の国際通貨制度において,中国としてはIMF等や地域金融協力の枠組みの中で人民元の存在感を高める戦略であるが,人民元の国際化を更に進めていくためには,資本移動の規制緩和を含めた国際金融のトリレンマを解決していく必要がある。</p>

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  • CRID
    1390015741620048640
  • DOI
    10.57520/prifr.153.0_207
  • ISSN
    27584860
    09125892
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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