惑星探査における蛍光X線分光

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  • X-ray fluorescence spectroscopy for planetary exploration
  • ワクセイ タンサ ニ オケル ケイコウ Xセン ブンコウ

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抄録

<p>地球型惑星表層の元素組成は,地殻の現在および過去における化学的・物理学的状態と深く関連していることから,惑星の地質進化を知る上で最も重要な情報の一つである.蛍光X線分光法は元素組成分析の代表的な手法であり,これまでに蛍光X線分光計は,月,火星,金星,小惑星などの惑星探査機の周回機や着陸機に搭載され,惑星の進化と惑星表面で起こった地質的・化学的過程の理解に重要な制約を与えるなど,惑星科学の発展に貢献してきた.最近では,蛍光X線の検出器として使用する半導体検出器(シリコンドリフト検出器)の技術的進歩に伴い,元素同定の能力が格段に向上している.さらに,遠隔観測だけでなく,着陸機や小型ローバーに光学分光計と蛍光X線分光計を組み合わせた計測装置を搭載することで,鉱物組成と元素組成について同時に高精度なその場観測が可能となり,惑星探査の地質調査で大きな成果を挙げている.このように蛍光X線分光計が多くの惑星探査機に搭載されている理由は,惑星探査において元素情報が重要であることに加えて,他の元素分析装置に比べて小型・軽量・低消費電力で,高精度の観測が実現でき,さらにその観測データの解釈が比較的に容易であるからと言える.本稿では,これまで惑星探査機に搭載された蛍光X線分光計の概要とその結果についてまとめ,現在進められている蛍光X線観測計画について紹介し,さらに今後の動向について述べる.</p>

収録刊行物

  • X線分析の進歩

    X線分析の進歩 47 (0), 59-77, 2016-03-31

    公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会

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