歯根膜細胞の骨芽細胞分化におけるカテプシンAの影響

DOI
  • 北垣 次郎太
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座 社会医療法人愛仁会 愛仁会リハビリテーション病院
  • 松本 昌大
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座
  • 藤原 千春
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座
  • 阪下 裕美
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座
  • 平井 麻絵
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座
  • 山下 元三
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座
  • 北村 正博
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座
  • 村上 伸也
    大阪大学大学院歯学研究科 口腔治療学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Cathepsin A on the Cytodifferentiation of Periodontal Ligament Cells

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抄録

<p> 目的:近年,カテプシンファミリーが歯周組織の恒常性維持に対しても関与していることが明らかになりつつある.そこで本研究では,カテプシンAの歯根膜細胞の骨芽細胞への分化に対する効果と,同酵素の侵襲性歯周炎との関連について検討した.</p><p> 材料および方法:歯根膜細胞の骨芽細胞分化モデルとしてマウス歯根膜細胞株(MPDL22)を用いた.最初にMPDL22におけるカテプシンAの発現をRT-PCR法ならびにウエスタンブロット法にて確認した.次にMPDL22に選択的カテプシンA活性抑制化合物エベラクトンBを添加し,カテプシンA酵素活性の測定ならびに,リアルタイムPCR法を用いた石灰化関連因子発現の計測を実施した.さらに日本人侵襲性歯周炎患者におけるカテプシンAのゲノムワイド関連解析を目的として,大阪大学歯学部附属病院を受診し侵襲性歯周炎と診断された患者のうち,本研究への参加を応諾された44名を対象としたエクソームシークエンスを実施し(大阪大学ヒトゲノム研究承認番号629-2),カテプシンAの遺伝子多型を日本人コントロール群(対照群)と比較した.</p><p> 成績:MPDL22においてカテプシンAが発現していることが明らかとなった.そしてエベラクトンBがMPDL22におけるカテプシンAの酵素活性を抑制し,石灰化関連因子オステオポンチン,オステオネクチン,Ⅰ型コラーゲンの発現を減少させることを見いだした.さらにゲノムワイド関連解析を目的とした侵襲性歯周炎患者のエクソームシークエンスの結果,一塩基多型(SNP)rs181943893(54番目の塩基GがCに変異)とrs72555383(33番目の塩基GCTが欠失)において,対照群とのマイナー対立遺伝子頻度に有意差を認めた.</p><p> 結論:本研究結果より,カテプシンAが歯根膜細胞の骨芽細胞への分化を促進させ,さらにカテプシンAのSNP rs181943893とrs72555383が日本人侵襲性歯周炎の疾患関連候補遺伝子の一つであることが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 日本歯科保存学雑誌

    日本歯科保存学雑誌 66 (4), 214-223, 2023-08-31

    特定非営利活動法人 日本歯科保存学会

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