混練・成形加工業に新鮮な刺激を与える反応混練技術

  • Fritz H.G.
    Institut für Kunststofftechnologie (IKT) Universität Stuttgart

書誌事項

タイトル別名
  • Reactive Compounding Creates Fresh Stimulus for Polymer Compounding and Plastics Processing Companies
  • Reactive Compounding Creates Fresh Stim

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抄録

<p>混合器および反応器としての機能を併せもっ噛み合い型同方向回転二軸押出機を用いることにより, インテリジェント混練技術や, 汎用ポリマーの機能化, ブレンド・アロイ化による改質を通じて, 少量の合目的なプラスチック材料の製造を, 低コストで行うことができる.その応用例の一つが熱可塑性高分子材料の化学修飾および機能化であり, オリゴマー修飾剤によるポリアミドの高粘度化, 非極性ポリオレフィンに対する極性あるいは機能性分子のグラフトによる相容化剤, ブレンド材料, 架橋性マトリクスとしての応用などの技術が開発されている.また, 架橋性エチレン-オクテン共重合体 (EO) から高弾性繊維が得られるほか, 現在は可塑剤を含むポリ塩化ビニルから製造されている各種医用機材も, EO共重合体から得ることができる.これらの製造においては, 化学修飾と成形が一段階のプロセスで行われるため, 成形加工業者が, 化学工学や反応速度論などの知識をもつ必要がある.一方, 主に混練業者により行われる, 反応を伴うブレンドおよびアロイ化による新規な高分子材料の製造においては, モルホロジーの制御が重要である.たとえば高分子二相系では, 無水マレイン酸のポリプロピレン (PP) へのグラフトによるポリアミド (PA) との相容化・化学結合を利用した, 共連続構造を有し力学的性質や耐熱性の改善されたPP/PAブレンド, 階段状に二軸押出機を用い, pre-blendを経由した新規な混練法で作製するヘテロ相PPなどがある.さらに, 新規な熱可塑性エラストマーの開発の実例として, 粘度を高めブロー成形を可能とした熱可塑性ポリウレタン (TPU)/PPブレンド, 組成により硬度の調整が可能で力学的性質も優れたPP/EO共重合体や, 動的加硫されたポリオレフィン共重合体がウレタンマトリクス中に微分散したTPU/エチレン酢酸ビニル共重合体 (EVA) からの熱可塑性加硫物などがあげられる.二軸スクリュ押出機は, モノマーやダイマーを出発原料とする反応押出にも用いられる.その中で, 新規な概念に基づく乳酸の製造・精製・重合法の開発によりポリ乳酸の製造コストを下げ, 広範な応用開発への道が開かれた.なお, L-ラクチドの開環重合により得られるポリ乳酸は結晶性を有するが, メソラクチドからは非晶性のポリ乳酸が得られる.</p><p>(要約:東京工業大学工学部有機材料工学科 鞠谷雄士)</p>

収録刊行物

  • 成形加工

    成形加工 10 (8), 600-613, 1998-08-20

    一般社団法人 プラスチック成形加工学会

参考文献 (15)*注記

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