Ⅳ.宇宙における総合学の取り組み─月を人類共有のコモンズに─

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タイトル別名
  • IV. An Approach to Comprehensive Studies for the Space ─Making the Moon a Shared Commons for Humanity─

抄録

<p>私たちは今,人新世の真っ只中にいて,漠然とした不安と向き合っている.頻発する異常気象の直撃を受け,感染症のパンデミックに遭遇し,核戦争の脅威も払拭できない.これまでにない「人類と地球の危機」に直面しているように思える.その根本原因が「地球の有限性」と「資本主義の欲望」に帰着すると誰もが理解し始めている.この危機を回避して,将来世代への悪影響を少しでも緩和するには,温室効果ガスの排出抑止と日常生活全般の脱炭素化を徹底し,資源消費型でGDP至上の資本主義経済の在り方を見直し,さらには,自らの世界観と価値観も変えなければ,人類のwell-beingが大きく低下するとIPCCが警鐘を鳴らし続けてきた.まさに「社会の大変革」が避けては通れない時代に突入している.この変革は,私たちの生活の隅々にまで大きな影響を与えるために,社会生活が行き詰まることが危惧される.キャパシティが有限な地球,そして,人間の技術力と忍耐力に頼るだけでは「危ない」という気持ちに支配される.このために,先駆者Gerard O’Neillのアイデアに再び着目する.地球という閉じた系だけで考えるのではなく,地球─月圏で考える方向を模索してはどうだろうか.本稿では,このアイデアにも留意しながら,人類と地球の危機を緩和するための糸口として,「月の開発利用」をO’Neillとは別の視点から検討する.そのポイントは,「月を地球のコモンズ(共有地)」として位置付ける考え方である.このために,総合的な視座(i.e. 宇宙の総合学の立場)から,この実現に関わる世界の動向や主要な課題を概観しつつ,筆者の見解と意見を紹介したい.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390015897167533696
  • DOI
    10.14822/kjsass.71.9_252
  • ISSN
    24241369
    00214663
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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