シャイヴァ・シッダーンタにおけるビンドゥとカラーの関係について

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タイトル別名
  • The Relationship between <i>bindu</i> and <i>kalā</i> in the Śaiva Siddhānta Tradition
  • The Relationship between bindu and kala in the Saiva Siddhanta Tradition

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抄録

<p> シヴァ教二元論シャイヴァ・シッダーンタにおいて,ビンドゥ(bindu)は森羅万象と言語の質料因として重要な位置を占める.9~10世紀頃のカシュミール出身と目される思想家シュリーカンタの詩節のみから成る著作Ratnatrayaparīkṣā(『三宝の考察』以下RTP)は,三宝即ちシヴァ,シャクティ,そしてビンドゥの考察を主題とする作品だが,最も紙幅を割かれるのはビンドゥであり,シヴァとシャクティもビンドゥとの関係の上から議論される.一方でそこには,明らかにさまざまな過去の思想伝統が混ざり合った痕跡があり,その複雑さが「ビンドゥとは,マーヤーより上位の,シヴァ教的な根本物質であって,同時に言葉の源である」以上の考察をこれまで阻んできた.本稿はシャイヴァ・シッダーンタにおけるビンドゥ思想を形成した基になる思想をRTP及びシャイヴァ・シッダーンタの諸聖典に基づきながら分析することを目的とし,以下の三点を考察する.(1)〈六道〉のひとつでありビンドゥの様態とされる〈カラーの道〉とは何か.(2)〈カラーの道〉は,他の〈非表示者〉〈表示者〉の五つの〈道〉をどのように遍充するのか.(3)五カラーを内包するビンドゥ相とは何か,そしてそれがどうしてシヴァのシャクティと呼ばれるのか.これに関連して,シヴァの三つの態を作るビンドゥと,その中で特に〈享受〉態に相として現れる〈ビンドゥ〉との関係を検討する.</p>

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