明治大正期のサラダ用調味料の特徴
書誌事項
- タイトル別名
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- Characteristics of salad sauce in the Meiji and Taisho eras
抄録
<p>【目的】明治維新による海外文化導入によりサラダが紹介された。溶媒抽出による植物油の産業化は20世紀初頭である。植物油が主原料のマヨネーズ以外にも入手できる素材で調理されたクリーム状のサラダ用調味料が存在した。1960年代以降の工場製マヨネーズやサラダの普及で姿を消したサラダ用調味料の特徴を探ることを目的とした。</p><p>【方法】明治大正時代を中心に家庭料理用の料理書のレシピを調査した。レシピについて再現可能な方法で調理した。再現したサラダ用調味料の特徴を検討した。 </p><p>【結果】マヨネーズは,地中海発祥とされる。アメリカ南部発祥とされる小麦粉,卵黄,牛乳,バターなどを使用したホワイトソースタイプのボイルドドレッシング,イギリス発祥とされるゆで卵の卵黄,クリーム(乳製品)などを使用したサラダクリームなど料理書にはマヨネーズだけでなく数種類のサラダ用調味料が併記されていた。他にも卵黄の加熱による粘性付与などされ,クリームドレッシングやサラダドレッシングなどの名称も様々であった。オリーブオイルによるマヨネーズは,現在のものと異なり,油脂感が強く鶏料理や魚介料理に向き,野菜やポテトには,ボイルドドレッシングなどが向くとの記載が多く,再現した試食でも同じように感じた。昭和11年の「食物調理指導書 続」佐保会編には,マヨネーズ,ボイルドドレッシングの2種類のサラダ用調味料が記載され,家庭料理では,標準的に2種類の使い分けが想定される。産業化されたマヨネーズは,植物油脂の精製や乳化技術による粒子の安定化,油脂感の低減などから汎用的なサラダ用調味料として発展をとげた。地産地消,油脂の摂取の低減などの観点で多様なサラダ用調味料を見直す必要がある。</p>
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 34 (0), 17-, 2023
日本調理科学会