術後腹圧性尿失禁が懸念された超高齢者完全子宮脱症例に,中央腟閉鎖術とposterior pubourethral ligament plicationを併施した1例

DOI
  • 中川 智絵
    昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター
  • 岡田 義之
    昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター
  • 安田 想
    昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター
  • 黒川 一平
    昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター
  • 重田 美和
    昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター
  • 野村 由紀子
    昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター
  • 嘉村 康邦
    昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター

書誌事項

タイトル別名
  • A case of complete uterine prolapse in a very elderly patient who underwent Le Fort colpocleisis with posterior pubourethral ligament plication

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抄録

<p>本邦での超高齢化に伴い、超高齢の骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse: POP)患者を扱う頻度も増加している。高齢ゆえに腟内装具などの保存的治療が困難で手術を要するケースもある。腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence: SUI)が併存する場合に、SUI に対する同時手術を行うべきかについては議論が分かれるところである。今回、中央腟閉鎖術施行時に、SUI に対する恥骨尿道靭帯縫縮(posterior pubourethral ligament plication: PPLP)を併用し良好な経過を辿った超高齢完全子宮脱の症例を経験したので報告する。症例は93 歳、 2 妊2 産。外陰部痛を主訴に受診し、有痛性の腟壁びらんを伴う完全子宮脱と重症SUI による外陰部皮膚炎を認め、いずれも主訴の原因と考えられた。腟内装具を試用したが腟内保持が困難かつSUI の悪化を認めたため手術療法の方針とした。POP に対して中央腟閉鎖術と後腟壁形成術を、SUI に対してPPLP を施行した。PPLP に要した時間は約8 分、術後は尿排出障害などの合併症を認めず、3 日目に退院した。術後、POP 修復は良好で、SUI と外陰部痛も著明に改善した。Nichols らによって開発されたPPLP は極めて短時間で施行可能で、中部尿道スリング手術と比べてより低侵襲であり、超高齢者に対して有用である可能性がある。</p>

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