気候変動対策行動尺度の作成と信頼性・妥当性の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Development of a Climate Change Action Scale and Investigation of Its Reliability and Validity
  • キコウ ヘンドウ タイサク コウドウ シャクド ノ サクセイ ト シンライセイ ・ ダトウセイ ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

気候変動対策における住民の取り組みを検討するうえでは、温室効果ガスの排出を削減する緩和行動だけでなく、気候変動による影響に備える適応行動を含めた幅広い行動を対象とすることが必要である。しかし、これまでの気候変動対策行動を測定する尺度は、その信頼性や妥当性の検討が十分になされていない。本研究では住民の気候変動への緩和行動及び適応行動の2つの側面を含む気候変動対策行動を測定するための尺度を作成し、その信頼性と妥当性の検証を行った。このため、調査会社の登録モニターで、神奈川県に住む20歳~79歳までの男女3000人を対象にインターネット調査を実施した。得られたデータをもとに、各項目の平均値と標準偏差から天井効果、フロア効果の検討を行い、項目の精選を行った。次に、探索的因子分析として、主因子法(プロマックス回転)による因子分析を行い、「長期・社会的対応」及び「短期・個人的対応」の2つの因子の抽出と、項目の再構成を行った。さらに、得られた尺度について、尺度の信頼性・妥当性の検討を行った。 信頼性については、Cronbach のα係数を使用し、内的整合性について検討した。この結果、2つの因子は、いずれも高い内的整合性が認められ、本尺度の信頼性は支持されたと考える。また、妥当性については、探索的80因子分析で認められた2つの因子を構成する項目の因子負荷量はいずれも0.5を上回り、因子妥当性が確保されたと考える。さらに、これら2つの因子間に相関を仮定した因子構造モデルについて確認的因子分析を行い、構成概念妥当性を検討した。その結果、因子構造モデルの適合度指標はいずれも基準を満たしており、構成概念妥当性が支持されたと考える。最後に、基本属性の違いにより下位尺度の得点に差異があるかを検証した。この結果、2つの下位尺度のいずれにおいても既存研究で指摘されている関連がおおむね認められたことから、基準関連妥当性が示されたと考える。

収録刊行物

  • 人文研究

    人文研究 (208), 77-100, 2023-03-30

    神奈川大学人文学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ