副咽頭間隙を貫いた歯ブラシ杙傷の 1 例

DOI
  • 宮﨑 孝
    国立大学法人九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 松尾 美央子
    国立大学法人九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 次郎丸 梨那
    国立大学法人九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 橋本 和樹
    国立大学法人九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 若崎 高裕
    国立大学法人九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 安松 隆治
    国立大学法人九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科
  • 中川 尚志
    国立大学法人九州大学病院耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of toothbrush impalement injury penetrating the parapharyngeal space

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説明

<p>杙創は、先端の鈍な棒状の物体が身体に突き刺さる外傷形態の一つである。口腔・咽頭外傷は、器具を口腔内に挿入したまま、転倒した際に発症することが多く、原因器具は、歯ブラシが最多とされる。今回、われわれは、副咽頭間隙を貫通した歯ブラシ杙傷の 1 例を経験した。症例は 67 歳の女性で、歯ブラシをくわえたまま転倒した。歯ブラシは中咽頭左側壁から副咽頭間隙を貫通し、左後頸部の筋間に刺入していた。また異物によって内頸動脈は著しく狭窄していた。頸部外切開によって歯ブラシのヘッド側から異物を摘出したが、抜去による出血はなく、その後の感染症の併発もなく治癒した。咽頭杙創の場合、不用意な抜去は血管損傷による大出血や神経障害の可能性があるため、造影 CT や血管造影等で正常構造物との関係を把握した上で、適切な抜去法を選択する必要がある。また杙創は受傷後数日経過してから、膿瘍等の感染症や外傷性内頸動脈閉塞症などの重篤な合併症を来すこともあり、適切な抗菌薬治療や神経学的所見の経過観察などを怠らないことが重要であると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 耳鼻と臨床

    耳鼻と臨床 68 (5), 346-351, 2022-09-20

    耳鼻と臨床会

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