同一患者における肩腱板断裂の無症候性側と症候性側の身体所見の違い

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肩腱板断裂には,無症候性が15-39%存在する.本研究の目的は鏡視下腱板修復術(ARCR)術前に,反対側の無症候性腱板断裂を認めた患者の両肩の身体所見を比較することである.対象は2012年から2017年にARCRを行った248例のうち,反対側に超音波画像検査で無症候性腱板断裂を認めた88 例である.自動可動域は屈曲,伸展,外転,外旋,内旋のすべてで両群に有意差を認めた.麻酔下徒手検査では屈曲,外旋,内旋で有意差を認めた.MMTやhandheld dynamometerを用いた等尺性筋力では外転,外旋,内旋すべてで有意差を認めた.測定時の疼痛陽性率は屈曲,外転の可動域測定時,外転位でのMMT測定時で有意な差を認めた.多変量解析では,90°外転位の外転筋力,とMMT測定時の疼痛陽性率,自動外転可動域測定時の疼痛陽性率, 外旋筋力,自動内旋可動域で有意な差を認めた.MMT測定時に疼痛がなく,筋力が保たれていると無症候性を保てる可能性と.保存療法で可動域の改善を目指すことで無症候性に転換する可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 47 (1), 146-150, 2023

    日本肩関節学会

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